新型コロナウイルス:NZ政府の対応・国民生活/経済活動への影響

2020年1月に始まった新型コロナウイルス渦に対するNZ政府アーダーン内閣の対応、そしてその国民生活と経済活動への影響について時系列でまとめました。この数か月はいろいろなことが起こり、何がいつ、どのような順番で発生したのか把握するのがとても難しくなっています。特に日本語の情報は皆無です。

そこでポスト新型コロナウイルス渦の対応が出てきた今を区切りとして、前回の投稿ではNZ厚生省の対応についてまとめ、この投稿ではNZ政府とアーダーン内閣がどのような施策を取り、NZ人の経済と生活がどのように影響を受けたのかをまとめました。個人的には、これだけの政策・対応を短期間で打ち出してきたNZ政府のスピード感に感嘆します。今までの対応を踏まえて、今後どのようにソフトランディングに向かっていくのかに注目していきたいです。


この記事を書いている2020年4月11日までに起こった事実だけを記載するように務めています。忘れる前に自分のためにまとめたものなので、間違いがあるかもしれません。出典(→から参考文献にリンクで飛べるようになっています)はきちんと調べていますが、もし、利用される場合は自己責任でお願いします。シェアしても構いませんが、文章の所有権は破棄していません。論文などで利用される場合は所定の文献参考書式を取ってください。

2020年
1月12日(日)
– 2019年12月31日に報告された疾病について、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスが原因と特定した。
1月28日(火)
– 厚生省が全国健康連絡センター(NHCC: National Health Coordination Centre)を設置
1月30日(木)
– 新型コロナウイルスを1956年健康法における感染症に指定

2月3日(月)
– 中国本土から入国または経由する外国人旅行者の入国を禁止。48時間毎に更新するか判断がとられる。NZ国民と永住者はこの処置から除外。中国滞在後14日以上他の国に滞在していた外国人はこの処置を免除。
– 入国審査のe-Gate運用を中止。入国審査官による審査に切り替える。
2月7日(金)
– 厚生省が新型コロナウイルス専用のホットライン(0800 358 5453)を開設
2月28日(金)
– NZ初の新型コロナウイルス患者は26日にインドネシア・バリ島から帰国した60歳代女性。
– 今までの中国からの外国人入国禁止に加え、イランの外国人旅行者を入国禁止。

3月2日(月)
– イタリア北部と韓国からの外国人入国者に入国後14日間の自己隔離要請が始まる
3月5日(金)
– ウェリントン地方のマオリ部族が、新型コロナウイルス感染を予防するため挨拶ホンギを自粛するように要請する
3月10日(火)
– トイレットペーパーのパニック買いが起こり、政府とスーパーマーケットが在庫は十分あるため、落ち着いて買い物をするように要請する
3月11日(水)
– WHOが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を宣言する。
3月14日(土)
– クライストチャーチ・モスクへのテロ事件の一周忌記念行事がキャンセルされ 、他の大型イベントのキャンセルも始まる
– ジャシンダ・アーダーン首相が16日から全入国者に対して14日間の自己隔離義務を課すことを始めると同時に、6月末までのクルーズ船の入港を禁止する。首相談話では「世界で最も広範で厳しい入国規制」。
3月16日(月)
– 午前1時:入国者の14日間の自己隔離義務が開始
– NZ準備銀行が新型コロナウイルス対策のため、公定歩合を1.00%から0.25%に引き下げ、最低でも12ヶ月は維持する発表をする
– アーダーン首相が500人以上の集会やイベントの中止を要請
– NZ航空が3月30日までに国際線の運行を85%削減することを発表
3月17日(火)
– デービッド・クラーク厚生大臣が、14日間の自己隔離義務を行わない旅行者を強制送還することを宣言し 、旅行者2名が強制送還される
– グラント・ロバートソン財務大臣が、$12.1b (約8000億円)の新型コロナウイルス予算の発表をする。この予算は、$8.7bの中小企業向け補助金、$2.9bの就業補償、$500mの厚生予算、$600mの航空産業への補助金が含まれる。
– カンタベリー大学が交換留学を中止し、全ての交換留学生に直ちに帰国する要請を行う
3月18日(水)
– 政府の新型コロナウイルス対策ホームページ(www.covid19.govt.nz)が立ち上げられる。
– 厚生省が新型コロナウイルス対策の病床を確保するため、インフルエンザ接種キャンペーンを通常より前倒しで進め、ワクチンも例年の1.5倍を用意することを発表
– NZ政府とオーストラリア政府は、4月25日にトルコで行われるアンザックデーの記念式典を中止することを発表
3月19日(木)
– フィル・ツウィフォード運輸大臣が航空管制や航空セキュリティなどの航空部門向けの$600mの補助予算を発表
– ウィンストン・ピーターズ外務大臣が国外にいるNZ人に対して海外旅行を自粛し、早急に帰国することを要請 。同時に政府による救済帰国便を運行する可能性を示唆する
– 午後6時:アーダーン首相が、当日午後11時59分からNZ国民と永住者及びそのパートナーと子供を除く全ての人のNZ行き飛行機の搭乗を禁止する宣言を行う(サモア人とトンガ人が必要不可欠な理由で旅行する場合、医療従事者、人権問題官権者は除く)。同時にクラーク厚生大臣が100人以上の室内で行われる集会・イベントの禁止要請
– 「NZが3月31日からロックダウンを行う」というフェイクニュースが流れたのに対して、アーダーン首相が「記者会見で毎日最新情報を提供します。内閣と厚生省、新型コロナウイルス対策ホームページの情報が正しい情報で、それ以外は噂に過ぎません」と国民に呼びかける
– 前日のヴァージン・オーストラリア航空の国際線運休に続き、カンタス航空とジェットスター航空が国際線を最低でも5月末まで運休
3月20日(金)
– オークランド市役所は図書館やプール、博物館などを含む全ての公共施設の閉鎖を決定
– マッセイ大学、オークランド大学、オークランド工科大学、カンタベリー大学、オタゴ大学などが、対面式の通常講義を取りやめ 、オンライン授業への移行を始める
– 必要不可欠な貨物輸送などを行うNZ航空に対して、政府が$900mの緊急つなぎ融資を行う
3月21日(土)
– デイビッド・パーカー通商産業大臣は、シンガポールとの間で必要不可欠な物品や医薬品の貿易を維持していくことを確認したと発表
– 正午:アーダーン首相が1982年のマルドゥーン首相以来(オイルショックに伴うインフレーション抑制の経済政策導入宣言)の首相官邸からのテレビ演説を行い、全国的な警報レベルの導入を宣言する。直ちに警報レベル2が宣言され、不要不急な国内旅行は自粛要請され、70歳以上の国民は自宅に留まることを要請される
– 市町村レベルの公共施設の閉鎖が順次行われる。
3月22日(日)
– 政府は新型コロナウイルスの影響を受けたマオリ人コミュニティとビジネス向けに$56.4 mの追加予算を発表
– 前日の警報レベル2の導入と不要不急の国内旅行自粛要請を受けて、自然保護省がビジターセンターや山小屋、キャンプ場など全ての施設を閉鎖。翌23日からはキウィレールが長距離列車を運休。キャピタルコネクション号は通勤利用のため25日まで運行。インターアイランダーフェリーは本数を減らして貨物輸送を行う 。25日からはインターシティバスが全国ネットワークを運休。
3月23日(月)
– 午後1時30分:アーダーン首相が警報レベルを3に上げる発表をし、全ての学校が閉鎖になる。同時に3月25日夜から警報レベルが4になる予告が行われ、全てのスポーツ競技、イベント、不要不急なサービスやビジネスを48時間以内に閉鎖することを要請する。同時に、スーパーマーケットやガソリンスタンドなど、国民生活に最小限必要なサービスは維持され、国民にパニック買いを避けるように要請。 発表直後から、各地のスーパーマーケットなどは大混雑、店内に入れる人数を制限する
– ロバートソン財務大臣が、17日に発表した中小企業向け補助金について、全ての企業に該当できるように申請額などの制限を撤廃することを発表する(警報レベル2から4に上げると、NZ国内の全ての企業が影響を受けるため)
3月24日(火)
– 27日から5週間にわたって国会が閉鎖されることが決定。この直前には、新型コロナ対策の3法案(緊急予算、国税局緊急対策法案、緊急対策法案 – 地方自治体がリモートワークできる規制緩和、地方自治体管理の学校を政府が一時的に管理、今後6ヶ月間の大家による貸家立ち退き要求禁止と賃貸料値上げ禁止)が党派を超えて可決される
– アーダーン首相は海外にいる8万人のNZ人に対して帰国する手段が断絶されつつある認識を示し、ピーターズ外務大臣は安全な場所に留まるように声明を出した
– ロバートソン財務大臣が各銀行に対してローン返済を滞納したために家を失うことが無いように要請する
– NZ航空、フェリーなどの公共交通機関がクリスマス休暇中と同レベルの輸送量を記録。ピクトンとウェリントンのフェリーターミナルでは自宅に戻る人たちがチケット購入の行列を作る 。政府が国内旅行制限を自宅に帰る人に限り27日深夜まで延長することを発表
– 全ての時限付ビザが9月末まで延長される処置がとられる
– オークランド市役所やカンタベリー環境局などが、キャンプ場を閉鎖する決定を行う
3月25日(水)
– オークランド、ウェリントン、クライストチャーチ、ダニーデンなどの公共交通機関の運賃が順次無料になる。運賃授受による乗務員との接触機会を減らすため。
– 野党党首のサイモン・ブリッジズ国民党党首を議長に、非常事態宣言下での政府の行動を監視する、伝染病対応協議会が超党派で発足する
– 午後12時21分に危機管理省ペーニ・ヘナレ大臣によって緊急事態宣言が出され、7日ごとに更新することになる
– The Warehouse(家庭用品量販店)が政府への確認無く、自社は必要不可欠なサービスであることを発表し、政府から指導と店舗閉鎖、公正取引委員会から株価意図的操作の罰金を受ける 。翌日にはMad Butcher(精肉チェーン店)が必要不可欠な業種に当てはまらないのに営業をしたため、政府から罰金を受ける
– 午後6時30分:全ての携帯電話に緊急警報が流される
– 夜:アーダーン首相はFacebook Live機能を使った新型コロナウイルス対策についてのQ&Aをオンラインで初めて実施
– 午後11時59分:警報レベル4が宣言される。
3月27日(金)
– 2日間延長された、NZ国民が自宅に帰るための国内旅行許可が終了。28日以降は、外国人が帰国するためにNZ航空国内線やフェリーに乗ることは認められなくなる。翌日からジェットスター航空のNZ国内線は全て運休になる。
3月28日(土)
– 国境を閉鎖したペルーからオーストラリア政府のチャーター便で帰国する予定だった24名のNZ人が、オーストラリア国境警備隊のトランジット規制に触れるため、帰国できなくなっていることが判明する 。その後4月6日にピーターズ外務大臣がリマに救援チャーター便を派遣する方針を発表した
3月29日(日)
– 26日に警察への通報が史上初めて10,000件/日を越えた ため、警察庁が新型コロナウイルスに関連する違法行為を通報する専用のオンラインフォームを開設する
– 検疫のため西オーストラリア沖に停泊させられていたクルーズ船バスコダガマ号に乗船していた108人のNZ人が、NZ航空の救済チャーター便でオークランドに帰国する
3月30日(月)
– オークランド発東京行の最終直行便NZ航空NZ99便(及び折り返しの最終NZ90便)が運行される。
– クイーンズタウンのデコバックパッカーズの宿泊者25人が公園でパーティをして警察が出動 。警察庁は他にも報告されているCovidパーティを今すぐ止めるように忠告
– アーダーン首相は、スーパーマーケットなどが買い物の選択肢が少ない状況を逆手に取り商品価格を上げている問題で、不公平な価格上昇を政府にレポートするウェブサイトを開設した 。価格上昇に最も不満が出た品目はカリフラワーと翌日の会見で発表。
– 政府は必要不可欠なサービスのリストを再検討し、白物家電やテレビ、パソコン、洋服、スポーツ用品などを必要不可欠と指定することを表明 。今まで営業不可だった家電や家庭用品量販店のオンライン販売が可能になる
– 失業したNZ人がオーストラリアから帰国する数が増えていたが、アーダーン首相の交渉の結果、オーストラリア連邦政府のスコット・モリソン首相が、NZ人もオーストラリア政府の救済補助金を受け取ることができるとの発表をする。
3月31日(火)
– 非常事態宣言を7日間延長
– 国立水大気研究所(NIWA)が、ロックダウン前に比べてオークランドの大気汚染が90%以上改善されていると報告

4月1日(水)
– 全国でのパニック買いに伴うチャタム諸島での食糧不足が報道される
– 政府が新型コロナウイルス対策のWhatsappチャンネルを新設
– NZポストが北米向け郵便物にサーチャージを導入。航空便の本数が減少しているため
4月2日(木)
– NZ航空の国内線が95%削減される
– 日本郵便がNZ向け小包(EMSとSAL、船便は既に数年前に撤退済み)の引受停止
– 雑誌出版大手のバウアーメディアがNZから撤退することを表明。経済的な理由から表現の自由が失われることが問題視される。アーダーン首相はバウアーメディアは給与補助金を拒否したため、撤退判断は新型コロナウイルスが直接的な影響を及ぼしたものでは無いとの認識
– 必要不可欠な業種に就業している人でも、新型コロナウイルス対応ガイドラインに該当する人は政府から休業補償を受けられるようになる
– 海外に帰国する航空券を持つ外国人旅行者に限って、国際線出発空港までの国内旅行が許される 。ヨーロッパ人旅行者を帰国させるため、カタール航空のオークランド~ドーハ便を1日2便に増強する許可を出す
– クラーク厚生大臣がロックダウンのガイドラインを違反し、車で自転車を乗りに行っていたことがソーシャルメディアで公開され、批判される 。また6日には、家族で20km離れた海岸へ散歩に行っていたことが分かり、アーダーン首相によって内閣閣僚順位が最下位に下げられるが、厚生行政の緊急事態に責任者不在を避けるため更迭は当面の間見送られた
4月3日(金)
– 厚生省と警察庁から警報レベル4の追加ガイドラインが発表され、アウトドア活動(トレッキング、サーフィン、狩り、ボート遊びなど)が正式に禁止になった
4月4日(土)
– ヴァージン・オーストラリア航空がNZでの運営を中止することを発表
4月5日(日)
– 新規感染者数増加が頭打ちになっているのを踏まえ、アーダーン首相は日曜討論で「ロックダウン当初はこの週末の感染者が4000人を越える予測だったが、実際は1000人程度に押さえ込まれており、厳しい前半戦に勝利しつつある」とラグビーの試合を例えて表現
4月6日(月)
– アーダーン首相は3月24日に導入された給与補助金$5.3b(約3800億円)が100万人弱に支払われたと発表。給与補助金を受け取った企業が労働者を解雇したり、補助金を支払わない例が多発していたため、受け取った企業の名前、金額などをオンラインで公表。
– NZ航空とヨーロッパ諸国の航空会社がオークランドとクライストチャーチからヨーロッパへのチャーター便の運行を開始した。10日までにルフトハンザを中心とするスターアライアンス系航空会社がオークランド空港から16便の救済帰国便を運行し6700人を帰国させた
– 野党国民党のブリッジズ党首が、伝染病対応協議会Zoomオンライン会議に参加する際に自宅のインターネットが遅いため、タウランガ自宅と首都ウェリントン間を自分の運転で往復していることが明らかになり、ロックダウンのガイドライン違反では無いかと批判が起こる
4月7日(火)
– 非常事態宣言をさらに7日間延長
– 定例記者会見で記者からの「復活祭のウサギと歯の妖精は必要不可欠なサービスでしょうか」という質問に、アーダーン首相は「子供たちからも質問がありましたが、これは必要不可欠なサービスです」と回答し、子供たち向けの復活祭の卵探しのアイデアを披露する
4月8日(水)
– アーダーン首相とヒプキンス文部大臣は、2つの教育テレビチャンネル新設を含む$87.7 mの遠隔授業支援予算を発表し、4月15日から始まる2学期に備えることを発表した
– デイビス観光大臣は、政府観光局が音頭を取って、ビジネス技術革新雇用省、自然保護省、主要観光産業と共に新型コロナウイルス渦の後を見通した将来の観光立国のあり方を探ることを指示した
4月9日(木)
– 外国から帰国したNZ人に対して、政府の予算(今後変更の可能性はあり)で強制的に隔離される処置が取られるようになる。アーダーン首相の説明では、3月15日には5000人/日が帰国しており無理だったが、4月8日には97人まで減少しており、この処置が対応可能になったため。
– アーダーン首相は、警報レベル4をレベル3に下げる判断は四週間のロックダウンが終わる22日の2日前、4月20日に行うと発表。
– 翌日から始まる復活祭の連休に対して、行楽に出かけないように要請が出される。警察が各所に検問を設置し、多くの行楽客が追い返される。
– カード支払い端末からの接触感染を防ぐため、スーパーマーケット大手のカウントダウンが暗証番号不要で支払いができる上限金額を$80から$200に変更。他の銀行や端末リース会社も追従する方針。
4月10日(金・祝)
– 運輸省が、警報レベル4で滞っている運転免許証、二種・特殊免許、車検、自動車登録税などの更新について、最大6ヶ月の猶予処置を行うと発表する。
– 警察庁が、ロックダウン開始後、家庭内暴力が急増しているとの発表をする。アルコールや薬物依存の危険性についても警告。

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